サバーヴェット Antigenne社から販売されているAvian Influenza Virus H9 Antigen Rapid Testは、喉頭分泌液/クロアカぬぐい液サンプル中のAvian Influenza Virus H9 (AIV H9)の特異抗原を定性的に検出することを目的としたラテラルフロー免疫測定法です。この検査はAIV H9感染の判定に有用です。
説明
鳥インフルエンザ・ウイルス(AIV)のH9抗原も重要な血清型のひとつであり、特にH9N2亜型は家禽に大きな影響を与え、ヒトに対する潜在的脅威でもある。
C特性と抗原性
特徴
ゲノム構造:
H9抗原はインフルエンザAウイルスに属し、そのゲノムは8本の一本鎖負鎖RNAセグメントからなり、それぞれが1つ以上のタンパク質をコードしている。
H9抗原には主にヘマグルチニン(HA)タンパク質が関与しており、ウイルスの接着と宿主細胞への侵入を担っている。
ヘマグルチニンタンパク質:
HAタンパク質はウイルス表面の糖タンパク質で、16の血清型(H1-H16)に分類され、H9はその一つである。
HAタンパク質は宿主細胞表面のレセプターと結合し、細胞内へのウイルス侵入を仲介する。
抗原変異:
鳥インフルエンザウイルスは抗原ドリフトや抗原スイッチングを起こしやすく、新しい亜型の出現や流行につながっている。
免疫原性:H9抗原は免疫原性が高く、宿主にHAタンパク質に対する中和抗体を産生させることができる。中和抗体はウイルスが宿主細胞に侵入するのを防ぐので、免疫防御を提供する。
交差反応性:
異なるH9亜型間で免疫応答が交差することもあるが、通常は交差防御は限定的である。
抗原の多様性により免疫逃避がより一般的になり、ワクチン開発への課題となっている。
臨床症状と重症度
家禽の症状
低病原性鳥インフルエンザ(LPAI):
軽度の症状:H9N2ウイルスに感染した家禽は通常、咳、くしゃみ、流涙などの軽い呼吸器症状を示す。
卵生産量の減少:感染した鶏は卵の生産量が著しく減少し、卵殻質が悪化する。
食欲不振:病気の鳥は食欲がなくなり、落ち込む。
合併症:他の細菌やウイルス感染症が合併し、病気を悪化させることがある。
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI):
H9亜型は一般的に高病原性ではないが、H9N2に感染した家禽は、特に他の病原体との同時感染がある場合、より重篤な症状を示すことがある。
ヒトにおける症状
軽度の呼吸器感染症:
発熱、咳、喉の痛み、鼻づまり、鼻水、その他風邪に似た症状。
重篤な症状:頻度は低いが、重症肺炎や急性呼吸窮迫症候群などの重篤な症状を引き起こす可能性がある。
感染経路
直接コンタクトを取る:
家禽から家禽への感染:感染した家禽、またはその分泌物や排泄物との直接接触により感染する。
ヒトと家禽の接触:ヒトは感染した家禽やその分泌物や排泄物に直接接触することでウイルスに感染する。
環境伝播:
ウイルスは汚染された水、飼料、食器などを介して間接的に広がる可能性がある。
空気感染:ウイルスは、特に閉鎖的で換気の悪い環境では、空気中の飛沫を介して感染する可能性がある。
臨床診断
臨床症状観察:
家禽またはヒトにおける典型的な症状に基づいて初期診断。
臨床検査:
PCR法逆転写PCR(RT-PCR)による呼吸器検体中のウイルスRNAの検出は、迅速で感度の高い検査である。
ウイルスの分離:病気の鳥や患者のサンプルからウイルスを分離し、培養と同定を行う。
血清学的検査:血球凝集阻害法(HI)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて血清中の抗体を検出し、感染および免疫反応を評価する。
迅速診断試薬:初回スクリーニングには迅速抗原検出キットを使用するが、検査室での確認が必要。